2022年8月21日日曜日

リコリス・リコイルの「旧電波塔」と「東京スカイツリー®」の商標権

アニメ「リコリス・リコイル」が人気のようで,先日私も墨田区を徘徊してきたのですが,あのアニメのなかで「東京スカイツリー」の名称が登場することはなく,明らかにスカイツリーであろう構造物も,よくみると別の構造をとっており,壊れています.

その理由はなぜか?そう,大人の事情があるのです.


まず「東京スカイツリー」の名称ですが,特許情報プラットフォームで検索してみると,東武鉄道株式会社(TYO: 9001)とその完全子会社である東武タワースカイツリー株式会社が,2007年10月24日出願・2008年6月20日登録の「登録5143175」以降数次にわたり,商標の出願を行っていることがわかります.

そして,同商標は現在でも存続しているため,権利者の許諾もなく「東京スカイツリー」の名称を商用利用することはできません.

アニメは,一般にスポンサーからの広告収入,または,テレビ局や配信プラットフォームのサブスクリプション等による収入を得る目的で制作されます.

ブルーレイディスクを販売したり,映画を上映することが商用利用にあたることは明らかです.

したがって,「東京スカイツリー」の名称が劇中に登場せず「旧電波塔」「旧電波塔事件」と呼称されているのは,大人の事情によるものと推察されます.

なお,「旧電波塔は復旧間際」のような発言があったものと記憶していますが,もともと似ても似つかない形状であること,もともと「旧電波塔」の呼称であることに鑑みれば,スカイツリーの緒権利に関する交渉は行われていないか,妥結していないとみるべきです.


次に,立体構造です.

2012年3月9日に登録された「商標公報5476769」では,東京スカイツリーの立体的な構造が商標となっていることがわかります. 

そして,この商標では【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】として「映写フィルム」および「インターネットを利用して受信し・及び保存することができる画像ファイル」,「電子出版物」,「録画済み磁気式又は光学式の記録媒体」,「印刷物」などが幅広く指定されています.

そうすると,許諾もなくアニメ・ゲームにおいて,「東京スカイツリー」の立体的な構造(姿)を描写することはできません.

というお話でした.

すみだ水族館の名称やロゴマークが登場しなかったのも同様の事情でしょう(年パス検討中です...さかな~がすきなので).


※なお,2020年には,建築物が意匠登録の対象となりましたので,今後は立体商標ではなく意匠権の登録が流行になるのかもしれません.

※ヤマノススメ シーズン1エピソード8に「スカイツリー」の名称が登場しますが, この程度では商標権の侵害にはあたらないという判断が適切です.

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