2021年1月8日金曜日

時差回数券(乗車券)と民法の話

 最近,私が沿線に住んでいる小田急線では「小田急チケット10」なる企画回数券が発売されています. これは,通常の回数券が,普通乗車券と同様の券面額の11券片だとか12券片だとかで発売されるところ,10券片で割引がなされた券面額の回数券といった状態で発売されるものです.

この「小田急チケット10」は,いずれも有効期間が2か月で,すべての日にちに使用可能な「レギュラー」と,土休日等に加えて,平日の10時から16時に使用可能な「オフピーク」,および土休日等に使用可能な「ホリデー」があります.

「レギュラー」および「ホリデー」については問題ありません.

しかしながら,「オフピーク」については,「10時から16時」が明らかではありません.

すなわち,「10時から」については,民法139条は「時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。」としており,10:00から改札内に入場できることが明らかです. 対して,「16時まで」は明らかではありません.

どういうことかというと,「15:59までは入場できる」「15:59までに出場しなければならない」「16:00までは入場できる」「16:00までに出場しなければならない」「16:59までは入場できる」「16:59までに出場しなければならない」については,この6類型のうち,いずれにあたるかが不明だということです.

そして,もし仮に,券面上の表示からは後者2類型(つまり「16時」とは「16:59」)であると通常解釈されるにも関わらず,実際には15:59もしくは16:00までに出場しなければならないように取り扱われて(改札システムの設定や窓口の対応等)いるとすれば,旅客を運送すべき債務の不履行となります. また,出場の際に,当該回数券を無効とし,追加で運賃を収受した場合には,不当利得ないし不法行為にあたり,不当利得返還請求権や損害賠償請求権が発生する可能性があります.

なお,本件に関して,当blog執筆者の確認した限り,令和2年1月8日16時の段階では,小田急電鉄株式会社のウェブサイトに掲載された「旅客営業規則」等には,本件企画回数券についての言及はみられず,同社に対し,問い合わせ中です.


※参考 小田急電鉄旅客営業規則 

https://www.odakyu.jp/ticket/doc/passenger_operating_rules.pdf


※参考 トップ > 定期券・お得なきっぷ > 小田急チケット10

https://www.odakyu.jp/ticket/ticket10/


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